ALX通信:令和2年7月号

感染拡大による働き方と意識の変化

~日本生産性本部の調査結果

新型コロナウイルス感染症は、組織で働く人の意識にどんな変化をもたらしているのか。日本生産性本部が、政府による緊急事態宣言の発出から約1か月後の5月11日~13日に20歳以上の日本の雇用者(就業者から自営業者、家族従業者等を除く)1,100名を対象にインターネットを通じて行った調査結果を公表しました。

◆労働時間・業務時間の変化、業種別・労働時間の変化

労働時間・業務量・余暇時間とも「特に増減は無い」が4割以上。労働時間は43.2%、業務量は37.6%が「減少した」と回答した一方、余暇時間は42.8%が「増加した」と回答しました。また、労働時間の増減は業種による差が大きく、特に宿泊業では100%、飲食サービス業では89.2%で「減少した」と答えました。

◆勤め先の業績、今後の自分自身の雇用・収入への不安、勤め先への信頼感

勤め先の業績(65.3%)、今後の自分自身の雇用(47.7%)、今後の収入(61.8%)と、いずれも「不安」を感じている人が多いという結果です。今後の雇用への不安感は業種による差が大きく、宿泊業(85.7%)、飲食サービス業(75.7%)、医療・福祉(65.0%)、生活関連サービス業(63.0%)で「不安」の割合が多くなっています。一方、勤め先による健康への配慮は、雇用形態や性別等の属性に関わらず68.7%が肯定的で、信頼の程度は、性別・雇用形態等の属性に関係なく「信頼している」「まずまず信頼している」が約7割、「あまり信頼していない」「信頼していない」が約3割でした。

◆新型コロナウイルス感染症による働き方の変化

働き方については、「特に変化はない」が40.7%で最多、「多少変わった」が35.0%、「大きく変わった」が24.3%でした。職種別に見ると、「専門的・技術的な仕事」「管理的な仕事」で3割以上が「大きく変わった」一方、「生産工程の仕事」「輸送・機械運転の仕事」「建設・採掘の仕事」「運搬・清掃・包装等の仕事」では6~7割が「特に変化はない」としています。また、柔軟な働き方の施策については、「特にない」が46.3%で最多。「自宅での勤務」29.0%、「時差出勤」16.3%、「短時間勤務」15.4%で、柔軟な働き方が一般化したとまでは言えない状況です。ただ、直近1週間の出勤日(営業日ベース)については、「1~2日」が37.3%で最多、「0日」32.1%、「3~4日」21.1%、「5日以上」9.5%で、2日以下の出勤が約7割を占めました。

テレワーク実施における課題については、「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」48.8%が最多で、以下「Wi-Fiなど、通信環境の整備」45.1%、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」43.9%などが続きました。「特に課題は感じていない」は8.4%にとどまり、多くの人が現状に不都合を感じていることが分かります。一方で、新型コロナウイルス収束後もテレワークを継続したいかについては、「そう思う」24.3%、「どちらかと言えばそう思う」38.4%と、6割強が肯定的でした。ある程度予想された結果も多いといえますが、これらの具体的な数字も踏まえ、企業としては、今後予測される新型コロナウイルスの第2波・第3波への備えはもちろん、多様な働き方を取り入れながら生産性を高められるよう、社内インフラの整備や社員教育、制度改革が求められることになりそうです。【日本生産性本部「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」結果PDF】

働き方改革関連法の認知度・準備状況は?

◆中小企業への適用が次々に始まる働き方改革関連法の施策

働き方改革関連法の施策の中で、今年の4月からは、「時間外労働の上限規制」の中小企業への適用が始まりました。今年は新型コロナウイルスの影響により、様々な法改正情報を目や耳にする機会が減ってしまった印象ですが、働き方改革の大きなテーマの1つである「同一労働同一賃金」も来年の4月から適用が始まりますので、今から準備が必要になります。

◆来年4月から中小企業にも「同一労働同一賃金」

来年4月から中小企業にも適用される「同一労働同一賃金」、なるべく早めの検討・取組みを

「同一労働同一賃金」について講じた対応策や対応予定の方策としては、「非正規社員の給与等の処遇改善」(47.5%)、「賃金・人事制度の構築・見直し」(36.4%)、「正規/非正規の業務内容・配置の見直し」(35.8%)、「非正規社員の正社員化」(27.1%)が挙がっています。どのような対応をとるにせよ、ある程度の準備期間が必要になりますので、未対応の企業は、早めの検討・取組みが必要になります。【日本・東京商工会議所「人手不足の状況、働き方改革関連法への対応に関する調査」】※対応への相談はいつでもご連絡ください


<2020年度両立支援助成金から出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)のお知らせ>

男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性労働者が生じた事業主に支給します。

例えば)1人目の育児休業取得者:57万円

例えば)育児目的休暇の導入・利用 28.5万円


人時生産性を使って生産性を測ってみよう!

人時(にんじ)生産性とは、「 従業員一人当たり一時間にいくらの付加価値を生み出すことが出来るか 」という意味の生産性指標です。数値が大きい方が、より生産性が高いといえます。

働き方改革により、これまでの長時間労働を見直し、労働時間を抑えて効率的に働くことが時代の流れとなっています。労働時間を減少させながらも、企業は生産性を維持もしくは向上させなければならない中、企業の生産性を測る指標ともなる人時生産性が注目されています。人時生産性(単位:円)=粗利益高÷総労働時間

年金制度改正法が成立しました!

年金制度改正法(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が5月29日、第201回通常国会において成立しました。

◆被用者保険の適用拡大(2022年10月~)

短時間労働者(週の労働時間が通常の労働者の3/4以上)を厚生年金保険、健康保険の被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件が段階的に引き下げられます(現在は500人超→2022年10月100人超→2024年10月50人超)。

◆在職中の年金受給の在り方の見直し(2022年4月施行)

① 在職中の老齢厚生年金受給者65歳以上の方については、在職中であっても年金額の改定を毎年定時に行うようになります。

② 60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から47万円に引き上げます。

◆受給開始時期の選択肢の拡大(2022年4月施行)

現在、60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大

◆確定拠出年金の加入可能要件の見直し等(2022年4月施行)

◆その他の改正

国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え(2022年4月)などが予定されています。


<雇用調整助成金(コロナ特例)のお知らせ>

雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、休業等を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

令和2年9月30日までの緊急対応期間においては、解雇等を行わずに雇用を維持した場合は一人15,000円を上限として労働者に対して支払う休業手当等のうち10/10が助成される制度です。あらゆる業種について、相談受付中です。


ALXよりひと言

 新型コロナウィル感染拡大防止対策に終始した年度の始まりでしたが、少しずつ日常を取り戻してきている気配を感じます。それでもコロナ後の働き方、経営のあり方がどう変わっていくのか不透明な状況であることに変わりはありません。その中でも効率化を図り、生産性を上げていく企業が生き残ると言われていて、働き方改革は加速していくものと思われます。ALXでは、年度更新と算定基礎届の手続きで大わらわのこの時期ですが、先月は雇用調整助成金の相談会への協力要請が多数あり、ALXでも10件あまりの申請手続きを行いました。

~両立支援等助成金に関するお願い~

労働者に子供が生まれる際に受給できる助成金の手続きについて、「育児休業等支援コース」の場合、申請期限ぎりぎりでの対応になりますと、申請が間に合わない場合がありますので、できるだけ早めにお知らせくださるとありがたいです。♪よろしくお願い致します♪

社会保険労務士法人ALX

~いつでも企業の皆様と共に~ 企業が、そして企業で働く従業員の皆様が、この会社で働いて良かったと思える就業環境を目指して労務管理のお手伝いをしています。 職員一同、気軽に相談できる、信頼される事務所でありたいと日々精進しています。

0コメント

  • 1000 / 1000