労務相談あるある

労働基準法の常識・非常識

時間外労働

◇ ケース1 

「年俸制なら残業代を支払わなくていい。」

労働基準法に、そのような規定はありません。

ところが、年俸制なら残業代は支払わなくてもいいという、いわゆる都市伝説が広がり、 それを信じた事業主が「うちの会社も年俸制を導入する。」と言い出すこともまれではありません。

裁判でも、下記のような判例が出ています。

年俸制でも会社に残業代の支払い義務 (2002/05/18大阪地裁判決)

大阪府内の設計コンサルタント会社に年俸契約で勤めていた男性が「年俸制を理由に時間外賃金を支払わないのは違法」 として賃金支払いを求めていた訴訟で、大阪地裁(大島道代裁判官)は18日までに、 会社側に時間外賃金約122万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

   

◇ ケース2

「管理監督者には残業手当を支払わなくてもいい。」

これも巷でよく聞かれる都市伝説のうちの一つです。

これは、労働基準法第41条に定められた「管理監督者」のことと思われますが、 「管理監督者」と認められるには条件が必要です。

一般的な企業では、部長クラスと考えていただければよいでしょう。

「管理監督者」に関する判例から、下記のような判断基準が示されています。

〔判断基準〕

○ 対象者の出退勤についての規制(自由)の有無及びその程度

○ その職務の内容が、ある部門全体の統括的な立場にあるか否か

○ 部下に対する労務管理上の決定権等について一定の裁量権を有しているか

○ 部下に対する人事考課、機密事項に接しているか否か

○ 地位に見合った賃金が支払われているか